都内ユーラシア探索~ウイグル料理「ウルムチ」

都内でウイグル料理を食べたくなった時、選択肢は多くありません。

そんな少数精鋭ウイグル料理レストランで、大本命・新宿区のウルムチを紹介します!

2021年11月更新
2021年夏よりしばらく休業していた「ウルムチ」ですが、11月になって閉店することを発表しました。
個人的にはウイグル料理を初体験しただけでなく、中央アジアの食事に料理を持つきっかけとなったレストランだけあっただけに、非常に残念です。
またどこかで復活してくれることを願いながら、以下本文は掲載当時のまま残しておきます。

「ウルムチ」という店名の意味とお店の概要

店名の由来は中国新疆ウイグル自治区の首府となる都市、ウルムチ(中国語: 烏魯木齊、ウイグル語: ئۈرۈمچى、Ürümchi)です。

29cm from Hong Kong, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

お店の場所は、新宿区が誇る多国籍タウン・高田馬場に位置します。

周りをJR高田馬場駅、西武新宿線の下落合駅、東京メトロ東西線の落合、都営大江戸線の東中野と、様々な駅に囲まれていますが、どの駅からも徒歩10分はかかる立地なので、散歩がてら来るのが良いと思います。

本家ウルムチも、世界で最もあらゆる海から離れた大都市らしいので、こちらのウルムチもあらゆる駅から離れているということなのでしょう!

なお、このレストランはウイグル人の店主によって経営されており、お店で働いている方もウイグル人が多いと思われます。(ウイグル語らしき言葉で話しているのを聞いたことがあります)
本格的なウイグル料理がいただけることは間違いありません!

「ウルムチ」のメニューについて

まず、このレストランは完全ハラールで、アルコール類の提供はありません。(ノンアルビールやノンアルワインはあるようです)

アルコールはありませんが、その代わりにお茶の種類が非常に充実しています。
私は「パリの茶」というものを頼みましたが、「パリ」というのはあのフランスのパリのことでしょうか?分かりませんでした…

なお、お茶は保温機付きのポットで提供されます。「パリの茶」、何だか分かりませんでしたが、ハーブティー的なお味で美味しかったです!

また、ここはウイグル料理と(より中華的な)新疆料理だけでなく、トルコ料理も提供されています。
私はいただいたことがありませんが、内容もドネルケバブだけでなくイスケンデルケバブやピデ(トルコ風ピザ)、ドンドルマ(トルコアイス)など、シェフの方がトルコ料理店で働いた過去があるのかもしれません。

ウイグル料理と言えば!手打ちラグメン

ウイグル料理の中で一番有名と言っても過言ではないと思われるのが、ウイグル風餡掛けうどんのラグマン(لەڭمەن、leghmen)

注文するたびにバッチンバッチンと麺を打ってくれますが、あまりの音の激しさに隣の建物で取り壊し工事が始まったのかと思いました。
また、具材も日替わりでナスが入っていたりニンニクの芽が入っていたりセロリが入っていたりと、飽きさせません。

そして極め付けはその麺のコシ。麺自体は細いのですがコシが強くて食べ応えがあり、トマトベースの餡との相性ばっちりです。

ちなみに焼うどんバージョンもあります。

ウイグル語ではコルマ・チョップ(قورۇما چۆپ、qorma chöp)、意味もそのまま「焼うどん」になるのですが、こちらは唐辛子と山椒が効きまくった刺激たっぷりスタイルでした。

外せない串焼き料理ジク・カワプとナン

ウイグル料理含め中央アジア~中東に広く伝わるものと言えば肉の串焼き・シシカバブです。
ウイグル語ではジク・カワプ(زىخ كاۋاپ、ziq kawap)と言われます。この店では羊肉と鶏肉のものがあります。

クミンやその他のスパイスが混ざり合って、刺激的ではないのに不思議な旨味を感じさせて、病みつきになります。

UMIT
UMIT

ちなみに、「ジフカワプ」(زىخ كاۋاپ zix kawap)なる表記も見られますが、“q”(喉の奥から出すカ行のような音)と“x”(喉の奥から出すハ行のような音)の音は類似性があるようなので、殆ど誤差の範疇なのかも知れません。「すみません」と「すいません」みたいな…???(適当)

日本語からするとカ行とハ行が誤差になり得るのかイメージつきにくいですが…

ちなみに上記画像の右上に見えるパンですが、こちらはウイグル風ナンではなくトルコ風のパンです。トルコ語で言うところのエキメッキ(Ekmek)ですね。

こちらは残念ながらウイグル風ナンにありつくことはできませんが、その代わりゴシナン(گۆشنان、göshnan)というウイグル風のミートパイをいただくことができます。

お肉は安定の羊肉ミンチ。ナンと表現して良いのか分からないのですが、とにかく美味しいです。おススメ!

中華料理的なモノたち

新疆ウイグル自治区は漢民族(所謂中国人)とウイグル人が同じくらいの比率で暮らしていますし、歴史的にも両方の勢力が住んできた土地だけあって、ウイグル料理であっても中華料理のテイストを強く感じさせるものもあります。

湯葉を細切りにしたサラダ。中国人がやっている本場の中華料理店では時々見かける乾燥豆腐のサラダがありました。
何だかお蕎麦を食べているような不思議な食感ですが、そこはウイグル料理、不思議なスパイスの香りがほのかにします。

こちらはセリクアシ(سېرىقاش、seriq ash)と呼ばれる、ウイグル料理にしては珍しい中華麺を使った冷たい料理。直訳すると「黄色ご飯」です。
中華麺を使っているからか、味もお酢と唐辛子が大分効いた酢っぱ辛い中華系。ウイグル風冷やし中華といった感じです。

中央アジアでお馴染みのプロフもサムサもある

ウズベク料理として有名なプロフですが、新疆ではポロ(پولو、polo)という名で呼ばれています。
もちろんこちらのレストランでもいただけます。

ヨーグルト付き。ウズベクプロフよりも心なしか色薄めで健康的に見えます。
ウイグル式なのか、それともこのお店式なのか、油は控えめで大人しい印象でした。

あのプロフを基準として油控えめという意味なので、日本の一般的なピラフやパラパラ系炒飯に比べると油分があります。
新疆産と思しき干しブドウもまぶされていて、ヨーグルトと良く合います。

中央アジアやインドで広く食べられるサムサ(سامسا、samsa)もありますよ。

ウズベキスタンで食べたパイ生地サムサと異なり、春巻きの皮を分厚くしたような食感。羊肉ラバーにはたまらない味です。


2017年に開業して早数年、地域に無くてはならないウイグル料理レストランになりつつあるウルムチ、今後も通い続けたい名店です。

それでは!!!!!!


コメント

タイトルとURLをコピーしました